GINZA ECOLOGICAL MAP

銀座の生態からサステナビリティを考える

COMMUNICATION DESIGN
SPACE/VMD/WINDOW DESIGN
SOCIAL

2021年4月から12月に資生堂銀座ビルで展示された、銀座の生態を様々な視点から可視化するプロジェクトです。コロナの猛威は多くの経済活動に制約を与えましたが、一方で世界の二酸化炭素(CO2)排出量は 前年と比べて7%ほど減っているなど、ポジティブな一面もありました。この事実はコロナ後の社会のあり方を考えるにあたって、私たちのパラダイムを転換させるチャンスになるかもしれません。単純に元の生活を取り戻すという事で良いのか。持続的な社会とは何か。あらためて身近な生態の循環に目を向けることで、未来へのヒントを見つけていくために。銀座を取り巻く方々とのフィールドワークや、資生堂銀座ビルのウインドウディスプレイを通じて発信しました。展示は年間で実施するウインドウディスプレイの転換に合わせて、前期・中期・後期の3つのフェーズで構成。様々な観点から銀座を発見-観察-創造しました。

ウィンドウアートでは、年間を通じて銀座の生態を様々な視点から観察し、採集物の立体コラージ(ASSEMBLAGE)を展開しました。前期では、銀座の街のフィールドワークや生態調査で発見した、銀座に生息する植物(街路樹 / 野良花等)や生物に着目しました。実際に街で採集した植物や花を転写・ドライ化 し、葉脈の特徴を浮かび上がらせたり、バードカービングによる鳥の彫刻や、街で発見した植物の生え方、花をCMYKに分けた色採集、草木染め、葉の型押しなど、様々なクラフトワークを組み合わせ、まるで生きているかのような生態の姿を展示しました。街を歩いて観察する過程で、銀座には多種多様な生態が存在することがわかりました。海外からの多くの訪問者が歩く街として計画された銀座には、通りごとに異なる種類の街路樹が植えられています。外来種の流入により、都市では見かけることがない野良花など、複数の生態系が存在します。また、銀座を象徴する柳は、空襲などによる焼失で何度か植え替えられています。会場では1932年公開の映画「銀座の柳」の主題歌レコードも展示しました。さらに、銀座は浜離宮と日比谷公園の間に位置しており、緑化された屋上は鳥や蝶の立ち寄り地点になっています。私たちもヒヨドリやメジロなどを発見しました。

ウインドウディスプレイの背面では、今回のフィールドワークの軌跡を展示しました。ウインドウ制作のベースとなったフィールドワークのリサーチフォトや、資生堂銀座ビルの生態調査資料、制作過程で検証した植物の染め和紙、採集した樹木や花の小瓶などを自由に手にとって触れながら、手もとで観察できるよう展開しました。

CREDITS

EXECUTIVE CREATIVE DIRECTOR 信藤洋二(SHISEIDO CREATIVE)

ART DIRECTOR / DESIGNER 堀景祐(SHISEIDO CREATIVE)

CREATIVE RESEARCH / SUPPORT 石井美加(SHISEIDO CREATIVE) / 高田大資(SHISEIDO CREATIVE)

PRODUCER 高嶺祥子

制作 HAKUTEN