INTERVIEW

コミュニケーションツールで
つながることのロマン

佐野 りりこ

2018 年入社 アートディレクター

ーどんなお仕事か、教えてください

デザインとディレクションを幅広く

ブランドの販促ツールや店頭ポスター、チラシやリーフレットなどのコミュニケーションツールのデザイン、商品プロモーションやキャンペーンのCMやSNSなどの動画のアートディレクションなどを中心に行っています。企画から関わることが多く、動画については、絵コンテのチェックから実際の撮影のディレクションまで幅広く行っています。他に、資生堂のコーポレート業務に関わることもあり、銀座の中央通りを彩るフラッグデザインなどを手掛けたこともあります。

ー仕事のやりがいについて教えてください

ブランドとお客様をつなぐコミュニケーション

コミュニケーションツールが人の手に渡り、ブランドとお客様の間をつないでいくことにロマンを感じます。自分の手掛けたツールを手にしている方を街で見かけると、とても嬉しくて、どうやったらもっと美しく、面白く、楽しく人々の手に渡るかと考えるのが楽しいです。私たちはインハウスのデザイナーなので、資生堂やブランドという枠の中でのクリエイティブになりますが、私は逆にその縛りを楽しんでいます。資生堂らしい美という枠の中でどんな表現ができるかを、自由に追求することにやりがいを感じています。

ーより良い仕事のための工夫やこだわりを教えてください

日常のすべてをデザインの糧に

デザインという仕事には、自分が日々見たり聞いたり考えたりしたものが少なからず影響します。私は、つねに「生活者目線」を忘れない仕事をしたいと思っているので、日常生活の中で友達と会話をしたりドラマを見たりするときにも、アイデアやインサイトのヒントとして受け止め、すべて自分の中にインプットしていきたいと考えています。

「意図的な違和感」で心に残る表現を

いい意味での違和感や面白さを、デザインの中に入れていくことを意識しています。留学時代にイギリスの街中で触れた商業デザインの力の抜け具合が好きだったのもあり、単にきれいなだけではないものをつくりたいという想いが強いです。例えば、ミューズのタレントさんや化粧品のボトルなどはもともと美しいのですが、コミュニケーションデザインではその美しさだけに頼るのではなく、見た人が「あれ?」と引っかかりを感じるような仕掛けを時には意図的に入れ込むことで、人の心に残る表現をつくっていきたいと考えています。

ー入社を決めた理由は何ですか

仕事をしながら成長できると期待

日本の大学を卒業後、デザインと広告表現の勉強をしたいと思い、好きなデザイナーやアーティストの多いロンドンの芸術大学に留学しました。ロンドンで学んだことは多かったですが、日本の美大でデザインを系統だてて勉強した人とでは、技術面などで差があることを自覚していました。資生堂は、仕事の中でクリエイター育成に力を入れているということだったので、その環境なら私も成長し続けていけるのではと思いました。実際に入社すると、デザインや美についてきちんと言語化してアドバイスをしてくれる上司や先輩が多く、日々学び続けています。

ー印象に残る仕事を教えてください

クレ・ド・ポー ボーテのショッパー

2020ホリデーの販促物で、ショッパーのデザインを担当しました。まだ入社2年目で経験が浅かったこともあり、とても苦労した仕事だったのですが、4年後くらいに街で、そのショッパーを持っている方を偶然見かけたのです。ショッパーはきれいなままの状態で、商品を買った後にずっと取っておいてくれたのかな、など想像をすると、本当にうれしかったです。自分たちがコミュニケーションを担っていることや、自分の手から離れた後にも続く責任についても、それまで以上に強く自覚するようになりました。

マキアージュ スキンセンサーベース2023キャンペーン

スキンセンサーベースはロングセラー商品で、広告デザインもさまざまな方法を既にやり尽くしたという感じがありました。そこからさらに新しいユーザーを獲得するためにはどうすればいいのかを考え抜き、「肌の美しさを徹底したリアリティで訴求する」という表現に挑戦しました。肌を美しく見せる撮影方法を試行錯誤し、限界までアップで撮影してレタッチもなるべく最小限にというアプローチでつくりあげたそのビジュアルは周りの人からも好評でした。最終的にOOHになり、チームのみんなで見に行って嬉しかったのを覚えています。

資生堂150周年史デザイン

150周年の記念誌制作のデザインに関わらせてもらいました。資生堂の歴史をあらためて学びながら、後世に残すべきものは何なのかをすごく考えた仕事でした。長い歴史の中でさまざまな表現がある中で、50年後に残したいもの、50年後に見てもわかりやすいデザインって何だろうと編集の視点で考え、先輩方の考えを吸収しながらデザインに携わることができて、とても貴重な経験でした。

ー働く環境や周りの方々との関わりについて教えてください

風通しがよく相談しやすい環境

とても風通しがよく、どんなことでも相談しやすい雰囲気がある職場です。一緒に企画を進めていく中では、デザイナー同士だけでなく、コピーライターやプロデューサーなど他の職種の人たちともフラットに意見を交わすことができ、打ち合わせのたびに新しい驚きや楽しさに出会えます。

私はこれから産休に入るので、しばらく職場を離れることになります。不安もなくはないのですが、困ったら相談できるから大丈夫、と信じられる環境で良かったと思います。今とても仕事が楽しいので、なるべく早い復帰を目指したいです。

ー今後の目標について教えてください

美に対する自分なりのこだわりを

私はまだ発展途上なので、美に対する自分なりのこだわりをもっと見つけたいです。そして、それを納得できるアウトプットにつなげて、会社に貢献したいです。また、デザイナーという領域に限らずにいろいろな挑戦をさせてもらえる環境なので、今までの枠組みを超えた新たなサービスやエンターテインメントなどを資生堂から生み出せたら、という野望も持っています。