INTERVIEW

クリエイティブの力で人と社会に貢献する

池田 昂己

2018年入社 アートディレクター

ーどんなお仕事か、教えてください

コミュニケーション領域のデザイン

デザイナーの仕事は大きく分けて、商品に関わるプロダクト、空間をつくるスペース、資生堂や各ブランドとお客さまをつなぐコミュニケーションの3領域があります。私はコミュニケーション領域におけるアートディレクターとして、プロモーションやキャンペーンなどの施策に合わせて、CMやSNS、広告ポスター、店頭ツールなどのグラフィックデザイン制作やディレクションを担当しています。また、資生堂の関連施設などからの依頼に応え、ロゴ開発などを行うこともあります。

ー仕事のやりがいについて教えてください

人や社会のためになっているという実感

自分の仕事が「人や社会のためになっている」と実感することが、一番のやりがいです。クリエイティブの力で人や社会を少しでも良くしていけたらという想いをずっと持っていて、社会貢献につながるようなプロジェクトには積極的に関わっていきたいです。

また、最初の頃はアートディレクターの指示のもとでデザイナーの仕事をしていたのですが、最近は、長年関わってきたブランドで、一部のCMやツールのアートディレクションをリードさせてもらえるようになりました。大変なことも多いのですが、それを乗り越え、しかも出来上がったCMの評判が良かったときには、大きな達成感とやりがいを感じました。

ーより良い仕事のための工夫やこだわりを教えてください

異なる視点を大切に、より良い形に

広告などの制作チームにはさまざまな職種の人が数多く関わっていて、目的は同じでも、視点や重視するところが違うことはよくあります。その違いを受け止めて理解しつつ、デザイナーとしてのこだわりは妥協しないでいたいと思っています。例えば、ブランドのマーケティング担当から、商品の良さを訴求するコピーを店頭ポスターに入れてほしい、という要望があったとします。でも、デザイナーの視点で見ると、ポスターにあまり文字が多くてもゴチャついた印象になるし読んでもらえない。そういうときには、ポスターは情報量を絞り、その分、店頭POPなどで訴求しませんか、というような提案をして議論を重ね、最終的により良い形でアウトプットできるように努力しています。

ー入社を決めた理由は何ですか

文化を育てていく社風に惹かれた

私は美大で広告コミュニケーション関係を専攻していたのですが、授業の中で70~80年代の資生堂のクリエイティブは何度も取り上げられ、注目していました。また、戦後のものがない時代にも日本を元気にするためにカラー印刷のポスターを出したり、新人クリエイターを応援したり、「MY CRAYON PROJECT」という教育ツールを開発するなど、自社のビジネスだけではなく、文化全体を育てていこうという想いを感じられる社風に惹かれました。

正直、学生時代は化粧品にはそれほどこだわりはなかったのですが、クリエイティブによるコミュニケーションで課題を解決していくことが、この会社ではできるのではないかと思いました。

ー印象に残る仕事を教えてください

瀬戸内プロジェクト

2022年度に瀬戸内国際芸術祭へ協賛したことをきっかけに、「瀬戸内の島々が抱える課題にクリエイティブの力で向き合う」というプロジェクトが立ち上がり、社内で有志が募られました。私は、ぜひ参加したいと手を挙げました。高齢化が進む瀬戸内海の男木島(おぎじま)を訪問し、島民の方々とお話して島の文化を体験させていただき、島の未来のためにクリエイターとしてどんな提案ができるかを考えていきました。とても魅力的で後世に残したい島の伝統的食文化があるのですが、それをどんな形でクリエイティブとしてアウトプットしていくかなど、長いスパンでチームのみんなと取り組んでいます。

資生堂クリエイティブのロゴ作成

2022年に資生堂のクリエイティブ部門が独立し「資生堂クリエイティブ株式会社」が生まれたのですが、その新会社のロゴの社内コンペに、先輩のアートディレクターと組んで挑戦させてもらいました。先輩の案をもとに二人でブラッシュアップしていったものが採用になり、とても嬉しかったです。私は、ロゴ入り封筒や名刺などのデザインも担当したのですが、身が引き締まる思いでした。150年にわたって先人たちが引き継いできた美意識を大切に、それでいて今の時代にフィットする新しさを出せるように、あらためて資生堂のクリエイティブの歴史を学び直して臨みました。

官公庁のデザインコンペ

官公庁のデザイン刷新に関するコンペに参加する機会がありました。その官公庁のミッションに合わせて、新しい資料フォーマットやピクトグラムなどデザイン提案しました。残念ながら結果には結びつかなかったのですが、クリエイティブディレクターと組み、コンセプトづくりからプレゼンまで日ごろの仕事にはない早いスピード感で、デザインの責任者としての仕事ができたのは貴重な経験でした。

ー働く環境や周りの方々との関わりについて教えてください

いい人が多く、成長できる環境

とてもいい人が多く、相談のしやすい環境です。また、尊敬できる人も多く、学ぶことが多いです。「アイデアをたくさん出すだけでなく、それを『選ぶ』視点をしっかり持つように」という先輩のアドバイスが印象に残っています。そして、学んで実力がついていけば、次のステップに挑戦できるチャンスが与えられて、成長できる環境でもあると想います。

ー今後の目標について教えてください

人間としてクリエイターとして頼れる存在に

近年は、クリエイティブ的にもビューティー業界的にも、非常に変化が速いと感じています。新しい技術やサービスがどんどん登場して、トレンドも移り変わっていきます。それらに対する理解がないと、企画を立てるにもデザインをするにもベストなアプローチができないと思うので、常に柔軟な姿勢で新しいモノやコトに積極的に触れ、変化を恐れずに自分自身をアップデートしていきたいです。そして、クリエイティブの力で社会に貢献する仕事ができる、人間としてもクリエイターとしても頼りがいのある存在になりたいです。